長寿命住宅は水との闘い②

2016年12月29日[更新]

4日前(25日)に、同じタイトルで「モルタルが長期に渡って水を吸い続けた時の不具合状態」についてアップさせて頂きました。実は今、工事をさせて頂いている現場が、木が湿気を吸い続けた事が原因で大問題を抱えてまして、この度、施主様から写真掲載OKとの了解を得ましたので、参考情報としてアップさせて頂きます。

日本では古来から、木造住宅を造り続けて来ました。その理由は、木材の特性にあると思われます。具体的には、①軽い割に強度がある②圧縮に対する靱性(ねばり)がある、といった特性です。少し専門的な話しになりますが、木材は含水率が15~20%程度に維持出来ていれば、100年以上は当たり前に持ちます。しかし、湿気を過剰に吸う事によって、腐朽劣化したり、シロアリ被害に遭ったりして、強度を失ってしまうんです。

例えば今回の現場では、家の基礎周りに水が溜まる状態になっていた結果、解体すると次のような状態でした。柱が建っているのではなく、ぶら下がっています。

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土台も腐ってました。

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しかし、これ以上に大きな問題だったのは、2階部分がシロアリ被害に遭っていた事でした。

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右側が通し柱ですので、少し離れて見ると腰折れしているのがお分かり頂けるかと思います。

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このままでは、地震が来たら倒壊していた可能性があります。

このようになった原因は、2階のベランダを設置した時、水切りが利いていなかったため、雨が降る度に雨水が構造材まで伝って来ていた事だと思われます。

天井から雨漏りが起きたりすると、住んでる方も気付きますので対応するのですが、雨漏りに気付かない位、少しずつ水が吸われ続けていると、このような状態に至ってしまう訳です。ここまで来ると、2階を残したまま柱交換する事になりますので、工事も大掛かりになってしまいます。今、その工事をやっていて、対策が完了しました。

こういった現場に出くわした場合、単に腐ったりシロアリに喰われた部分を交換するだけでは不十分です。原因に適確な手を打って、その上で新しい材料に交換しないと、最初は良くても時間が経てば同じ事になってしまいます。

具体的な対策工事の中味は、ここでは記載致しませんが、こういった部分にプロとしての対応が出来ないと、信頼を獲得出来ないと思います。

私がここで強調したいのは、木造であれ、鉄筋コンクリート造であれ、水捌けを十分考えた住まいにしないと、長寿命住宅は造れない、という事です。

こうなって来ると、建築だけでなく土木の領域まで含まれて来るのですが、長寿命住宅には、そういった対応が求められていると私は考えています。とにかく、水捌けには十分、注意する事が必要です。

本ブログは、今年はこれで仕事納めとさせて頂きます。新年は、5日から始めさせて頂きます。皆様、良いお年を!

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