土地の歴史を知る

2016年05月13日[更新]

「耐震化」という事が建築において、非常に重要な事項として位置付けられて来ましたが、今回の熊本大地震では建築後、数年しか経過していない、耐震基準を満たしている家でも大きな被害が出ているという事が話題になっています。その際、必ず問題として挙がって来るのが「盛土」の箇所が沈下して被害が大きくなっているという事です。

この事は、東日本大震災の時にも大きな問題になっていたのですが、建築物の耐震化は進められても、地盤の強化はあまり厳しくありませんでした。その事が今回の被害を大きくしたというのが、一般的な報道の様です。

しかしながら、本当に被害を避けようとするなら、その土地の歴史を学ぶ必要があります。盛土も、そのうちの一つです。

私が東日本大震災で被災した福島県須賀川市では、同じ街中でも、大きな被害が出た建物とそれほど被害が出ていない建物が隣り合わせだったり、古い建物の方が被害が少ないまま残っていたり、分からない事が多かったんです。しかし、その疑問に終止符を打ったのが、郷土史家が持ち出して来た古地図でした。次の写真がそれです。

DSCN4882

<画像をクリックすると、拡大して見れます>

この古地図は、戦国時代に、伊達政宗から滅ぼされるまで、須賀川で勢力を誇っていた二階堂氏が築いていた須賀川城の街割りなんです。この古地図で何が分かったのかと申しますと、青色のお堀の部分が公有地という事で埋め立てられ、今の道路になったそうなんです。須賀川の方は、400年前のメインストリートも今の道路になって残っているという事に感心していました。

そして、被害のあった場所と照らし合わせてみると、東日本大震災で大きな被害が出たのは、昔のお堀を埋め立てた場所だったという事が分かったんです。

歴史を学び、土地の歴史を知るという事は、防災の観点からも重要です。「切土」か「盛土」かというのは、ごく最近の事ですし、工事を見ればすぐに分かる事ですので、防災を考えるなら、当然知っておかなければいけない事です。

それだけでなく、土地の歴史を学び、街作りにも活かしていく事は、防災の観点からも必要不可欠な事だという事も、今回の震災被害を通して、学んでいかないといけないと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です