私のような仕事をしてますと、古いお宅や土蔵を拝見させて頂くケースがあります。今日は、その際に発見した面白い現象をご紹介します。こちらのお宅の倉庫は、130年以上前に建てられていた土壁の土蔵と、鉄骨造の倉庫の2種類で構成されてまして、別々の倉庫に置かれていたミシンの傷み度合いの違いが顕著だったんです。
最初に見て頂きたいのがこちら。85歳のおばあちゃんが若い頃に使われていたミシンです。注目して頂きたいのは、右端の木部の傷みです。
右下に下がってますよね?湿気の影響で反ってるんです。アップで見ると、こんなに傷んでいます。
こうなってしまったのは、長年に渡って鉄骨造の倉庫の中へ置かれていたため、木部が大量の湿気を吸ってしまい、腐ったためです。
ではもう一つ、おばあちゃんの姑さんが使われていたという、もっと古いミシンはというと、こんな状態でした。
アップで見ても、何も問題ない状態です。
こちらのミシンが置かれていたのは、築130年以上になる土蔵なんです。土蔵は、分厚い土壁が湿気を自働的に調整してくれますので「夏は涼しく、冬は暖かい」という空間を実現してくれます。
その証拠に、同じ土蔵の中に置かれていた、古い勘定帳もこの通り、全く損傷はありません。カビも生えてません。
私達が湯布珪藻土塗りをしている部屋も、この土蔵と同じ効果(いや、それ以上!)を発揮します。湯布珪藻土の空間で生活していると、服や皮物だけでなく、人間も長持ちします。
こういった場面に出くわす度に「昔の左官さんは、偉かったんだな」とツクヅク感じて、尊敬の念が増して来ます。
余談ですが、明日から出張に出ますので、ブログは休止して、5月26日(木)から再開致します。