地域の生活文化を基とした住まい

2016年06月08日[更新]

いつから変わったんでしょうか?私が子供の頃に見ていた住まいの風景は、地域の生活文化が基になっていたと思います。例えば、私の生まれ故郷である大分の宇佐では、アーチ型の石橋(眼鏡橋)漆喰による鏝絵(こてえ)が日常生活の中で当たり前のように存在し、そういった景観が地域のアイデンティティになっていたように感じます。

こういった眼鏡橋は、今でも道路として使用されています。

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そして、こういった鏝絵(こてえ)も、左官屋さんや家に住まれている方が独自に、自由な作風で描かれています。

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下の写真は、津房郵便局さんの入口に描かれている鏝絵です。(思わず笑ってしまいそうな、ユーモア溢れる作品だと思いませんか?)

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芸術作品のようなものもありますが、必ずしもプロではなく、自分達の日常をイキイキと描いたものも数多く存在しています。こういうものこそ地域の生活文化であり、地域のアイデンティティそのものだと感じます。久しぶりに故郷へ戻って来た人も、全くその地を知らない旅行者も、皆さんそれぞれにその土地の生活文化を感じ取れるのではないでしょうか?

鏝絵自体は、全国のいたるところにあったそうですが、宇佐の鏝絵は、その中でも最も残されていて、今でも息づいているものだと言えるのではないかと思います。

高度成長期以降、全国どこに行っても同じような景観になってしまった感があります。しかしながら、自分自身の原点を見失わないためにも、宇佐の眼鏡橋や鏝絵のような生活文化に根差したものこそ、住まいや生活の一部として残し続けていくべきではないかと思います。

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