これまで数日に渡って沈下住宅の対応について記載して参りましたので、毎日読んで下さった方は、その要点が分かって来たと思います。今日はその分かりやすい簡単な事例をご紹介させて頂きます。
下の写真は、東日本大震災で大きく傾いた倉庫(福島県須賀川市)です。明らかに左側が大きく沈んでいます。
左側が沈んだ原因は、左下にある垂れ流しの雨排水でした。屋根全体の雨を1箇所に集中してしまうため、必要以上の雨を吸って軟弱地盤となり、長時間に渡る揺れが続くと液状化してしまうという事です。
工事するまで、この雨樋の排水先の付近は、いつもジュクジュクと湿った状態でした。
ここをジャッキアップした結果が、次の写真です。
軽自動車が邪魔ですが、倉庫が真っ直ぐになったのは、お分かり頂けますか?
サッシに絞って見て頂くと、より一層、違いが分かります。これが工事前です。
そしてこれが、工事後です。
一目瞭然ですよね?さて、大切なのは、この後です。ジャッキアップして水平にしても、再沈下対策をしておかなければ、また沈んでしまいます。今回は雨排水が原因でしたので、雨樋から排水溝まで排水管を通す事で、屋根に落ちた雨水を全て排水溝に持って行くような対策を採りました。
このように、雨樋を排水管に繋ぎます。
排水溝まで、排水管を引き込みます。
掘り返した土を埋め戻して、工事完了です。
雨が降った日にチェックしてみると、順調に排水されてました。
これでOKです。そして最終的には、入り口の階段も仕上げ、このようになりました。
工事が完了してから、倉庫の周りに今までのような湿気はなくなり、地盤が固まって来たそうで、余震が続いていたにも関わらず、再沈下はしていません。
通常の沈下住宅の場合は、杭打ちまでしなくても、こういう対応で大丈夫です。ただし、排水工事をキッチリする事が大変重要になって来ますので、この点は十分に、ご注意下さい。