床下調湿工事のススメ

2016年12月05日[更新]

今日は、文字が多くなって、少々理屈っぽくなりますが、たまにはご辛抱下さい。

建築業界にいて、いつも不思議に思うのが「温度を快適な状態にしようとする事に大変な努力を払うのに、湿度についてはほとんどスルーされている」という事です。温度と湿度が住環境で大切だという事は知ってるんでしょうが、何故、温度だけで問題解決しようとするのか、私はずっと不思議に感じているんです。

実際には私も、温度と湿度の両建てで考えるのですが、あまりに湿度の話しがスルーされる事が多いので、つい湿度の話しに力を入れ過ぎてしまいます。

解体工事をすると良く分かるのですが、住まいに関する根本的な問題は、床下に潜んでいる事が多いんです。そして床下の湿気は気流に乗って壁内に広がり、それが2階や屋根裏にまで広がって家全体の問題へと拡大していきます。(床下からの気流が、壁内を通って軒天へ抜けて行く。壁のコンセントボックスを外した時、風が吹き抜けている事を感じた人も多いはず)

という事は、木造住宅を長く持たせるようにするには、床下の湿気問題を解決するのが根本的な解決策になる訳です。

では、どういう風にすればいいのか、簡単にご紹介します。実は奥が深い事なので誤解が生じる恐れもあります。施工上の注意事項もたくさんあります。しかし、一般にはほとんど知られていませんので、あえて簡潔にご紹介させて頂きます。(深く知りたい方は、私に直接、お電話下さい。納得頂けるまで、お答え致します)

住宅の基礎にコンクリが使われるようになって、布基礎と呼ばれる工法が広がってから、床下にこもった湿気の問題が深刻化し始めます。この時、土中から上がって来る湿気を外に逃がそうとして床下換気口を作りましたが、強度が必要な基礎に穴を開けてますので、当然、地震の時にはここが被害を受けてしまいます。(エネルギーは弱いところに集中する)

更に冬場には、冷たい外気が床下を通り抜けますので、足元が冷たくなり、エネルギー効率が悪くなる原因にもなっています。(床から熱エネルギーが逃げていく)

問題が多いので別の方法を模索し、建物の荷重を面で受けて強度を上げようという、ベタ基礎が導入されました。床下の土からの湿気問題はかなり解決されたものの、コンクリ自体が大量の湿気を発生させる事と、梅雨の湿気を換気口から呼び込む事、そしてビニールクロスで壁内に湿気を閉じ込めた事により、カビシロアリを発生させる事となりました。要するに、湿気問題は布基礎の頃と変わっていない訳です。

その解決策として、私は床下調湿工事をオススメしています。以下、ごく簡単に、どういう工事なのか、ご紹介させて頂きます。

20坪位の家だと、35~40袋の床下調湿材(メソポア珪藻土)を使用します。

dscn1182

そして、床下換気口を閉じて、床下調湿材を床下の全面に敷き詰めるんです。

dscn1218

dscn1217

これだけです。布基礎の場合は、防湿シートを完璧に敷かなくてはいけないのですが、それについては別の機会にご紹介させて頂きます。

床下がこういう状態になったら、梅雨の湿気や冬の冷気が床下から壁内に入って来る事もないし、床下の湿度は年中、60~70%程度で安定します。という事になったら、シロアリも生息しません。

この工事は、湿気や寒さで問題を感じている方や、私の話しに理解を示して下さった方だけに、ご紹介しています。理屈を理解し、工事して下さった方は、必ず効果を感じて喜ばれています。

床下調湿工事は、先週も1件あったし、今週も1件あります。現在工事中のリノベーションでも全面に採用します。床下調湿工事が全国に広がっていくと、必ず、住まいに関するあらゆる問題が解決されると思います。問題解決は、根本から手を打たないといけないですから。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です