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土台交換

2016年06月29日[更新]

今日のリフォーム打ち合わせで、お客様から「うちの床下は、相当湿気が多いんですが、今まで何も手を付けてないので、かなり傷んでると思います。建て替えしなくて大丈夫でしょうか?」とご相談を受けました。私のモットーは「今、壊れていなければ、どんなに傷みや歪みがあっても必ず直せます」という事ですので、何とかします。(勿論、新築を希望される方には、建て替えのオススメもします)

私がこれほど断言出来るのは、大変な現場でも断る事無く、問題解決して来たからではないかと思います。例えば、床下の湿気で一番大変だった現場は、こんな感じでした。束が完全に虫に喰われて、穴が開いてしまってます。

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土台も、腐ってしまって、完全に落ちてました。

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それを、このように土台換えしました。

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これで、完成です。

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以上が、土台交換のパターンですが、家が傾いて土台の隙間が一定でなかった場合は、このように隙間に合わせた調整土台を入れる事もあります。これにはかなり高度な大工の技術が必要です。(下の写真の右側に行くに従って、土台が狭くなっています)

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こういう難しい現場を確実にこなしていけたのは、腕のいい大工さんが真剣に協力してくれるからです。施工する全員が、お客様の事を考えて協力していく現場作りをしていると、全員がものすごい力を発揮して、思いもしなかったような高い成果を出すものです。

今回のお客様宅も、ひょっとしたら私も経験した事の無いような事態に出くわすかも知れませんが、そういう事も楽しみながら進めていきたいと思います。難しい現場をこなしていくほど、自分自身の力量アップになりますので、またいい経験が出来るかも知れません。この工事も、まだ決定した訳ではありませんので「自分の力量アップのためにも、是非、難しい現場をやらせて下さい」という気持ちで取り組んで参りたいと思います。

須賀川史談会様

2016年06月28日[更新]

6月10日の本ブログに「雑誌への寄稿」というタイトルで「住まいと電気 10月号」への寄稿の件をアップさせて頂いてました。そこに掲載させて頂く写真に関して、私が面識のある方からは快諾を頂いてましたが、福島県の須賀川史談会様が作成された古地図を掲載させて頂く事に関しては、私も面識の無い方にお願いしないといけなかったので少し緊張したのですが、本日、快諾頂ける旨のお電話を頂けました。

雑誌には、こういう古地図を掲載させて頂きます。

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これで何を言いたいのかというと、東日本大震災で福島県須賀川市の街中が被害を受けたのですが「新しい建物が壊れたにも関わらず、隣りにある古くて耐震基準を満たしていないような建物は何の被害も出ていない」という、通常では理解出来ない事態が発生した原因についてです。

この謎を解いて下さったのが須賀川史談会さんだった訳です。上記写真の青い部分がお城の堀だった箇所で、大きな被害が出たのは正にそこだったんです。要するに、自然災害が起きると、昔の地形が蘇って来るという事です。

そうやって振り返ると、平成26年8月の広島市の土砂災害では、以前に沢だった箇所へ大量の土砂が流れ込んで被害が拡大したし、今年4月の熊本地震でも、以前に川だった流域に沿って液状化被害が発生しているという報道を耳にしました。いずれのケースでも、忘れ去られていた昔の地形が戻って来たという事です。

須賀川史談会会長様は「安部さんの書いてる事、全くその通りだと思います。須賀川城だけでなく、長沼城の堀だった箇所も被害が出てます。耐震化も大切ではありますが、私自身も震災被害を受けて痛感したのが、地盤が一番重要だという事です。そして、気候風土に合った地元の建材を使う事も大切です。私が住職をする寺も全壊被害を受けたのでこれから建て替え工事をするのですが、地元の建材を使って、地元の宮大工さんにお願いする事にしました。歴史を正しく知ると共に、後世の方に伝えていく必要性も感じています」とのお話しを頂きました。

古地図の掲載を了解頂くだけでなく、私の書いている事に関して強い後押しを頂けた事、大変嬉しく思います。私も微力ながら、須賀川史談会さんの活動を、少しでも後押し出来ればと考えています。

排水堰

2016年06月27日[更新]

6月23日の本ブログで、レンガテラスの一列を剥がして排水溝を作った事をアップさせて頂きました。今日はその続編です。レンガテラスが最大で約4cm沈み込んでしまいましたので、テラスと基礎の間に雨水が入り込む隙間が出来てしまい、それを防ぐ工事を行えば完成となります。

玄関横の部分が、このように約4cmも沈んでました。

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基礎に雨水が沁み込まず排水溝に流れ込むようにするため、このように堰を作っていきます。

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完成と共に、雨が降り始めて来ました。

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雨の量がまとまって来ると、一番奥の沈み込んだ箇所から排水されていきますので、工事の狙い通りです。

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そして雨が激しくなって来ましたので、先日完了していた雨樋からの排水工事の検証も出来ました。このように、順調に流されていきます。

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この工事をしなかったら、ここに流れている雨水が全て庭の雨樋の周りに垂れ流されていた訳です。それを考えると、この工事をやって正解だったと実感出来ます。私と一緒に排水状況の検証をされた施主様も「今晩から予想されている大雨も、これで安心して過ごせます」と仰って頂けてますので、それが私にとっても何よりの喜びです。

大分は、プレート型の南海トラフ大地震が予想されてますので、軟弱地盤になってしまう排水の問題を、出来るだけ多くの件数、解決しておきたいと考えています。これが、私の出来る減災対策ですので、徹底していく考えです。

排水工事は大切です

2016年06月26日[更新]

比較的最近に起きた大震災の経験から、以下の事が分かって来たと思います。

①地震被害を最低限に抑えるには、建物の耐震性以上に地盤の問題が重要です。

②特に、東日本大震災のようなプレート型地震では、揺れが大きく、長時間に渡って揺れるので、液状化による被害が大きくなります。

という事を考えると、大分県で被害が予想されている南海トラフ(プレート型地震)に備えるには、普段から大雨の際に、次の写真の様になる箇所をチェックし、対策工事しておく必要があります。

④DSC03369(水溜りの例)

いくら新築の時に地質調査しても、このように雨水が溜まっていると、どうしても地盤が弱くなってしまうし、地面に水を含んだ状態で長くて大きな揺れに襲われると液状化して家が傾いてしまいます。これが、プレート型地震の際に起きる被害の典型例です。

例えば、こういう事になってしまいます。これは、福島県須賀川市で私が対応させて頂いた実例です。網戸の歪みに注目して下さい。

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この箇所、17㎝も沈んでました。工事で水平に戻すと、こんなになるんです。

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ここでも工事前は、こんな感じで水溜りの跡が見受けられました。工事の際に地質調査しましたら、新築時よりもかなり地盤が弱くなっていた事も判明しています。

①P1060986(工事前)

この時は、暗渠排水をする敷設で水捌け改善工事をしました。こんな感じになります。砕石の下には、パイプに穴が開けてあって雨水が沁み込んでいくようになってます。

②DSCN1346(工事後)

雨の日に見ていると、ドンドン雨水が吸われていき、水溜りは全く出来なくなりました。

③DSC03376(雨の日チェック)

工事をしてから5年が経過していますが、度重なる余震はあったものの、再沈下していません。今でも、一年に一度、再沈下していないかどうかのチェックを続けて検証しています。

なぜ、こういう事を書いているかと申しますと、実は今日、訪問したお客様から「大分市内にある別宅の庭に、雨が降ったら水溜りが出来るので、調査して対策工事をしてほしい」というご依頼を受けたからです。「水溜りを見ていたら、安部さんの話しを思い出して、確かに水捌けが悪いと地盤が弱くなるなと思ったので、地震に備えた対策をしておきたいんです」というお話しを承りました。

地震対策の私の話しは、理屈よりも事実を基に「考察→実施→検証→」という事を繰り返してますので、私としては自信を持っています。こういう提案をしていく事が、東日本大震災というプレート型地震で被災し、復旧工事をやって来た私の使命だと考えているからです。私の話しを受け留め、ご依頼を頂けたというのは、本当に嬉しく思いますので、私の持ってるものを全て出し切って、ベストな対応をさせて頂きたいと考えています。

梅雨の雨は嫌ですが、こういう検証の事を考えると、早く降ってほしいなという気持ちにもなって来ますね。

離れの断熱リフォーム

2016年06月25日[更新]

お風呂を暖かくするリフォーム工事は、ホームチームが最も得意とするものですが、今回は少し難易度の高い工事をする事になりました。簡単な平面図で書くと、このように離れとなっている箇所で、間取りはこのままでリフォームします。

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元々ここは、築100年超の古民家で、五右衛門風呂のあった箇所をそのままタイル風呂にリフォームしていたのですが、冬があまりに寒いので、近くの温泉に通われるようになってました。しかし施主様もご高齢化され、毎日、温泉に行くのも大変になって来たため、冬でも暖かいお風呂にしてほしいという事でご依頼を頂きました。

写真で見ると、こんな感じです。

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日中も人がいないため室内温度が上がらないし、床下点検口があるため冬は冷風が足元を通り、単板アルミサッシの開口も大きいし、壁には恐らく、断熱材が入っていないと思います。

こういう現場を暖かくするには、自分の経験から来る知識をフル動員して、完璧に近い施工を実現したいと思います。職人の段取りもこれからなんですが、工事の進行に合わせて情報をアップさせて頂きます。(施主様、了解済み)

難しい現場ほど、腕が鳴ります!

「ゆ」焼き

2016年06月24日[更新]

湯布院からの帰り道、「あれは、何?」という景色を発見しました。場所としては、狭霧台のちょうど左下辺りになるのですが、突然、こういうものが目に入って来ました。

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よく見ると「ゆ」の字が描かれてます。恐らく「湯布院のゆ」「温泉のゆ」を意味してるのではないかと思います。湯布院の方に聞いてみると「温泉祭りの際に『ゆ焼き』というのがあるんですよ」との事でした。

全国的に有名な伝統行事としては、京都でお盆明けに開催される「五山の送り火」(通称:大文字焼き)がありますが、これに模して、湯布院の温泉祭りの際に「ゆ焼き」を行うようになったみたいです。今年の温泉祭りは、地震の影響で開催されなかったようですが、つい先日、日程を改めて行われたそうです。しかし、焼けた跡は見受けられませんでしたので、今年はやらなかったのでしょう。

大分県内には、私がまだ知らない地域行事が多数あるみたいです。来年は、今よりも復興した湯布院の温泉祭りで、ゆ焼きを見てみたいと思います。

集中豪雨

2016年06月23日[更新]

今週の九州地方は、集中豪雨に見舞われてまして、今週末も大雨という予報が出ています。私は月曜の早朝から出張に出ていたのですが、空港に着いた時にお客様から「レンガのテラスが海の様になって、基礎の換気口から雨水が入って来そうです。至急、何とかなりませんか?」というSOSが携帯電話に入って来ました。私も現場に行く事が出来なかったのですが、現場の様子を思い出しながら、職人さんに対応方法を口頭で伝えました。その対策工事が、次の写真です。

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地震によってテラスが沈み込んでいたようで、上の写真の上部(隅の部分)から水が溜まっていたようです。対策工事としては、レンガを1列剥がして勾配を取り、排水溝を作って排水桝まで繋げました。「水は高い方から低い方に流れる」というのは当たり前の事ですが、余震が続く地域の軟弱地盤の箇所では、このように勾配が変わって来る事がありますので、注意が必要です。

私も現場の様子を必死で思い起こして、携帯電話で対策を指示しましたが、それを理解し、確実に対応してくれた職人が一流でした。この対応によって、基礎の換気口への水侵入は無くなったそうです。口頭での報告は受けてましたが、私も今日、現場確認してホッとしたところです。お客様は、上記の対応工事が終わるまで、眠れなかったそうです。住まい手の気持ちは、そうだと思います。

しかしこれで終わりません。近くで見ると、レンガテラスが5センチほど沈んでいるようで、基礎との間に隙間が出来てます。

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という事は、見た目には床下への水侵入は無さそうでも、ここから基礎下に雨水が沁み込んでいくという事ですので、対策が必要だと判断しました。自分が住まい手だとしたら、ここまでやっておかないと安心出来ないはずです。お客様にもその旨を伝えたところ、即「やって下さい」とご依頼を受けました。

地味な部類の仕事で、手間を掛ける程には売り上げは上がりませんが、こういう事を確実にやり続けていると、満足度と安心感はかなり高まって来ると思います。この工事も大至急、対応させて頂きたいと思います。こういう対応スピードでも、お客様の気持ちに寄り添う事が大切だと考えてますので。

リユース

2016年06月19日[更新]

環境問題に関する言葉として、一般的にはリサイクル(再循環)という言葉が広まっていますが、住まいの内装材に関しては、リユース(再使用)という事にこだわっています。どのように違うのかと申しますと、例えば「ペットボトルをカッターシャツにリサイクルする」という場合、確かにペットボトル自体の処分は減るのですが、リサイクルする際に膨大なエネルギーが発生してしまいます。これがリサイクルという事です。

では、リユースとはどういう事かと申しますと「そのままの状態で再使用出来る」という事です。私達がリフォーム工事の際に内装材として扱っている『湯布珪藻土』が、まさにそういう材料なんです。

塗り壁をして余った材料があれば、ボードやプラダン等に塗って乾かしておきます。そして、必要になった際、このように剥がして、

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練り樽に入れて、

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水を加え、攪拌機で練り込みます。

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練り終わったら、こういう状態になりますので、このまま再び、壁塗りが出来るという訳です。

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100%自然素材の湯布珪藻土ですが、珪藻土自体の含有率は80%で、20%はつなぎとして使用されている食用のでんぷん糊や古紙が含まれているため、濡れたままにしておくと腐ってしまいます。食品と同じですね。しかし、水分を抜いて乾燥させておけば、腐る事はありませんので、水を加えて練り直せばそのまま、再使用出来るという事です。

従いまして、壁に塗った材料でも同様に、剥がしてから別の場所に塗る事も出来ます。

自然素材にこだわる以上、エネルギーも含めた環境面を考慮して、リユース出来る材料を広めていきたいと考えています。

私事ですが、20~22日は出張で不在になりますので、本ブログは休ませて頂きます。23日より、宜しくお願いします。

今の湯布院が狙いです

2016年06月18日[更新]

私事ですが、湯布院でご依頼頂いた工事が、無事、終わりました。施主様に心から喜んで頂けた事が、何よりも大きな収穫でした。工事期間中は、雨天以外で工事がある日は、ほとんど毎日通っていたのですが、渋滞に巻き込まれる事無く、美しく雄大な自然を満喫させて頂く事が出来ました。

例えば今日の朝も、別府から城島高原経由で湯布院に抜ける道は、こういった景色が広がっていました。

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特に、由布岳登山口から湯布院に下るまでは、絶景がまだまだ続きます。

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今年4月の地震が起きるまでは、渋滞が続いて、景色を楽しみながらという余裕もあまり持てなかったのですが、今の湯布院なら、思いっ切り楽しめます。

やはり、人が行かない時に行くから、楽しめるんだと思います。街中には随分、外国人旅行者も戻って来ましたが、それでも例年と比べると今の湯布院は、ゆっくりと寛いで楽しめます。

特に別府から湯布院に抜ける道は、草の緑がみずみずしいので、梅雨の時期が一番綺麗だと思います。そういう意味で、今が旬です。地震がもたらしたのは悪い事ばかりではありません。折角のチャンスを、楽しみましょう。

泥団子教室の幟が完成

2016年06月17日[更新]

私が大分に来てから、やろうと思っても中々進まなかった珪藻土の泥団子教室ですが、太田旗店さんの協力で、幟(のぼり)旗が完成しました。

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今までも、同様の幟旗で集まって来た人は数知れず、私がお相手させて頂いて泥団子を作った方の総数は1200人を越えています。今はまだ「どういうタイミングで、いつどこでやるのか」は決めてませんが、多くの方の目につくところで、定期的に開催していきたいと思います。ただし、やるからには全員にピカピカのものを作って持ち帰って頂きたいので、出来るだけ少人数の予約制にしたいと考えています。仕事と同様、決して質を落としたくないので、最低でも、下の写真のレベルには仕上げていくつもりです。

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