NDパネル

2017年01月16日[更新]

最近、めっきり寒くなって来ましたので、住宅には高い断熱性が必要だと感じられている方が多いと思います。断熱材にも色んな種類があり、施工の仕方も職人によってまちまちなのが実態ですが、住宅の基本性能にとって重要な要素ですから、使用する断熱材と施工方法には、絶え間ない断熱材の研究施工方法の標準化が必要です。

リノベーション工事では、壁・床・天井の全面に断熱材を施工するのは当たり前ですが、私が工事する際には、更にちょっとした工夫を織り込みます。今日はそのうちの一つをご紹介させて頂きます。

住まいの中では北側の壁面に陽が当たらないため、どうしても寒くなります。という事で、北側の壁面だけでも、アキレス社製のNDパネル(硬質ウレタン断熱付き石膏ボード)を施工すると、それをしない場合と比較すると、格段に快適になります。

これは、相当高い断熱性能を有するのですが、一般にはあまり知られていないのが不思議な位です。こういうもので、結露対策にも有効です。

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具体的な施工方法は、普通の石膏ボードと同じですが、断熱材の厚みが10mmありますので、通常よりも少し長めのビスを使用する必要があります。施工途中の断面を見ると、こんな感じです。グラスウールの上に張りますので、二重断熱になっています。

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仕上がりは、こんな感じになります。普通の石膏ボードと同じです。

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上記は、ちょうど今、やってる工事の写真で、この段階でも既に暖かい感じです。この上に湯布珪藻土を塗って、ヤカンの蒸気を壁に吸わせると、その輻射熱効果も出ますから、相当快適になります。

アキレス社さんが、とても良い断熱材を開発されました。もう少し普及すると、日本の住まいも更に快適になると思います。私も普及に努めて参ります。

三方無節の床柱

2017年01月15日[更新]

最近の建築現場では、ほとんどがプレカットになっているため、鉋掛けする場面を見る事がなくなって来ました。しかし今回、手掛けさせて頂いているリノベーション工事では、私達も出来る限りの事をさせて頂きたいという事で、床柱にはこだわった材料を使わせて頂く事になりました。そこで私が、銘木を扱っている材木屋さんでいい材料を見繕い、現場に持ち込みました。こういう場合に、鉋掛けして綺麗に仕上げるのが旧来からの大工さんの仕事です。こんな情景は、見ていて楽しくなります。

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そして、こんなに綺麗に仕上がりました。桧の三方無節です。(一番上にある木材)

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こうやって並べてみると、普通の材料との違いがハッキリします。(写真の下側にあるのが、三方無節の桧の床柱です)

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工事も後半に入って来ましたので、もうすぐ床の間も完成します。この床柱は、床の間に映える事、間違いありません。最終的に工事が完了した時には、施主様もきっと喜んで下さると思います。

京町温泉

2017年01月14日[更新]

今日は、久しぶりに温泉紹介をさせて頂きます。別府市京町にあります、温泉通の間で有名な『京町温泉』です。場所は、国道10号線から少し山側に入った京町の裏通りにありまして、この看板が目印です。看板に「100円」と書かれてますよ。

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入口ではお地蔵さんがお守り下さってますから、温泉を利用出来る事に感謝して入りましょう。

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2階が公民館で、1階にあるこの暖簾をくぐって中に入ります。

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泉質は炭酸水素塩泉ですので、アルカリ性で美肌効果があると思います。

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温泉自体は、至って普通の湯船だけがある温泉です。

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京町温泉の特徴は、少し熱めの湯その湯量が多いという事でしょうね。綺麗で透明なお湯が、湯船からいつもこんなに大量に溢れています。こういう温泉にユックリ浸かれるのは、本当に贅沢だなと感じてしまいます。

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お風呂も清潔ですし、こんな温泉が100円で利用出来るなんて、温泉好きにとっては堪りませんね。是非、ご利用されてみて下さい。

まじめらーめん

2017年01月13日[更新]

別府市の富士見通り7丁目交差点から南(別府駅方面)へ少し入ったローソンの真ん前で、面白い名前の看板が目に入って来ました。

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お店に入って店員さんに聞いてみたら、オーナーさんの苗字が「まじめ」さんというので、そのまま店名にされたそうです。ここのラーメンは鶏白湯(トリパイタン)ラーメンといって、最近、ラーメン通の間で人気のコラーゲンスープのラーメンだそうです。

店舗が新しいという事もありますが、店内はお洒落で綺麗ですので、女性のお客さんも多いようです。(私は平日の変則的な時間に行きましたので、一人だけでした)

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洗面所も、普通のラーメン屋さんの雰囲気ではないですね。掃除も綺麗にされてます。

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ここの主メニューは、塩麹(しおこうじ)ラーメン醤油(しょうゆ)ラーメンで、塩麹があっさり系、醤油がコッテリ系との事でしたので、私は迷わず塩麹を選びました。

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自動販売機で食券を買います。学生さんと女性には常時割引があるみたいです。

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そして出て来たのが、これです。

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発酵食品だからでしょうか、油っぽさの無いあっさり味で、これなら女性の方も好みそうですね。「画像を見ただけで味を感じる事が出来る」という特技を持った方は、堪能して下さい。(画像をクリックすると、拡大して見れます)

このラーメン、万人ウケしそうな感じがします。少しずつでも評判になって、近い将来の有名店になるのではないでしょうか?

縄文時代の貝塚

2017年01月12日[更新]

私の頭の中では「縄文時代の遺跡は東日本が中心で、西日本は弥生時代からの文化」というイメージがあったのですが、大分市東部の横尾にも縄文時代の貝塚があったようです。現在工事中の現場近くで、標識を発見しました。それによると、紀元前7000年から紀元前4000年頃まで、3000年も続いた遺跡だそうですが、私が高校生だった頃まで教科書には出てなかったと記憶しています。

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場所は、天神橋交差点付近の一帯で、今はこのような芝生の広場になっています。

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ここは大野川に沿った地域で、川向うを眺めてみると、河岸段丘のような地形になっています。そして、この遺跡からは姫島の黒曜石が多数、出て来たそうなので、この辺りは地形的にも気候的にも、太古の昔から恵まれた地域だったようです。

大分県は、これまで歴史の教科書に登場する事があまりなかったのですが、姫島も古事記や日本書紀の国生み神話に登場しますし、豊の国と言われるように、有史以来、豊かな土地として知られていたようです。

普通にリフォーム工事で回っているだけでも、こういった史跡に出会えるのはワクワクするような楽しみです。歴史の表舞台にはあまり登場して来ませんでしたが、大分は奥が深いと感じますので、これからも色んな発見をしつつ、自分なりの解釈を深めていきたいと思います。

大分銀行本店パネル展示

2017年01月11日[更新]

大分市府内町の、大分中央郵便局に隣接した大分銀行本店で、今、上映中の映画「海賊とよばれた男」のパネル展示が行われています。

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なぜ、大分銀行でこういう事が行われているのかと申しますと、映画の中で登場している主人公の会社が資金繰りに窮し、主要銀行が融資を引き揚げていく時、今の大分銀行の前身となる銀行が全て肩代わりして救ったという経緯があるからなんです。

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この融資を決断した人物が実際にいて、その事が小説の中でも描かれていました。映画はまだ見ていないのですが、恐らく登場していると思います。

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今の大分銀行もこの事を誇りとしていると思いますが、大分県人として誇りにしても良いのではないでしょうか?

小規模企業が大きくなる段階で、どうしても資金繰りに困る場面は出て来ます。この時、預金として集めた一般の方からのお金を融資し、社会的にも望ましい会社として成長していく手助けをするために存在するのが銀行です。だから、政府の規制で守られている訳です。しかしながら実際には「借りる時には担保が前提」「借りる必要のない人に借りてもらって利ザヤを稼ごうとする」「本当に困っている会社からは、逆にリスクを恐れて資金を引き揚げようとする(貸し渋り、貸し剥がし)」というのが、理念を忘れた銀行がやっている事です。銀行が仲介する事で、本当に資金が必要な会社へ資金を融通する事が銀行の存在意義なんです。

そういう点からすると、この時の大分銀行の行動こそまさに、銀行としてのあるべき姿であったし、後の日本経済や産業界に多大な貢献をしたと言えると思います。

「いい事は目立つように」すべきですので、融資の舞台となった、トキハ本店横にある赤レンガの建物(当時の二十三銀行本店)でも、何らかの催しをやって、大分県の人達にもその事を積極的に伝えてほしいと思います。

それにしても当時の経営者は、単に自社の売り上げを伸ばす事以外に、大変な環境の中で事業展開して来たものだと感心します。当時の出光興産は、監督官庁、石油メジャー(国際金融資本)、GHQとの相克の中で、外国資本の傘下に入るのではなく、国益を全うするため純日本資本の会社として事業を行って来た唯一の石油元売り会社です。

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こういう事を学ぶと、報道でも取り上げられているように、出光興産の創業家が、外国資本を受け入れる事に反対している理由も見えて来ると思います。

このパネル展示は、1月31日までの9~15時に大分銀行本店1階ロビーで見る事が出来ます。無料ですので、通り掛かりの方は立ち寄ってみる事をオススメします。

なぜ家はすぐ燃えるの?

2017年01月10日[更新]

毎年、冬になると、暖房機を扱う事と空気の乾燥が重なって火事が多くなる傾向があります。一般的に報道される事は基本的に事実に基づくものですが、自分の頭で注意深く考えないと誤った解釈と対応をしてしまいますので、住まいと火災に関して私が普段から感じている事をお知らせします。

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住宅建築でも、火事による被害を防ぐ目的で木材を耐火(石膏)ボードで囲ってしまう建て方が推奨され、実行されています。そういう家作りをしていると、燃えにくい家が増えていないといけないのに、相変わらず火災によって多くの死者が発生している=何らかの理由で逃げ遅れている、という事ですので、家作りを行う我々も注意しないといけない面があります。単に建築基準法に従った建て方をしているので、私に責任は無い、とは言えないと思うのです。

私が感じている結論を申し上げますと、火災が発生する際、家の構造体は残って倒壊しなくても、壁と天井にビニールクロス(石油化学製品)を使用しているため、火があっという間に燃え広がって有毒ガスを発生させ、一酸化炭素中毒で動けなくなった結果、逃げ遅れる事が死亡の直接原因になっているのではないでしょうか?(石油は簡単に燃えて有毒ガスが発生します)

実際の火災報道を聞いていると、多くの場合、2階にいる方が亡くなられています。これは、ビニールクロスが燃える事で発生する煙が上に上がるからではないでしょうか?

一昨年の広島市のビル火災を例に採っても、上記のように考えると筋が通るのです。火元は1階でしたが死者は2階で発生していますし、死亡に繋がった直接原因は逃げ遅れと明確に書かれています。

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<画像をクリックすると、拡大して見れます>

木造住宅が燃えると言われるのですが、木は簡単には燃えません。それは焚き木や薪ストーブを燃やしてみるとよく分かります。そして、例え燃えたとしても木は有毒ガスを発生させませんので、一酸化炭素中毒ですぐに動けなくなる事もありません。

こうやって考えてみると、住まいの内装には、火に燃えない土=珪藻土が最適なのではないでしょうか?以前は、大火事の際、大切なものは全て土壁の土蔵に放り込んで逃げていたそうです。この事は理に適っています。土は燃えませんから。

別の病院施設の火災では、法的な問題から「スプリンクラーが設置されていなかった」という事の責任が問われているようですが、火災が発生しても逃げ遅れない(死者が発生しない)家作りという観点からは、壁と天井を珪藻土塗りにするという事が、最も簡単で効果的な方法なのではないでしょうか?

こうやって考えると、日本の伝統的な家屋が土と木で建てられていた事の合理性が説明出来るのです。何でも昔が良かったという意味ではないのですが、長く続いて来たという事は、それなりの合理性があった訳であり、その事を十分に踏まえ、客観的事実に基づいてメリットとデメリットを考慮していく習慣を付ける必要があるのではないでしょうか?建築に携わる人達は、火災で多くの死者が発生し続けているという事実を重く受け留める必要があると思います。これも減災の一つと私は考えています。

四代目 源右エ門さん

2017年01月09日[更新]

通常のリフォーム工事では、大分県内在住の職人さんとタッグを組んで問題解決に取り組んでいますが、築100年以上の社寺・古民家や通常の材木屋さんでは扱っていないような銘木を使用する案件の場合、専門的な知識と対応力を持った人の協力が必要になって来ます。こういったケースでは、弊社は100年以上に渡って曳家(ひきや)をやって来た『五代目 源右エ門』という名古屋の会社と協力関係を結んでいます。今は代を譲っているのですが、前の社長である『四代目 源右エ門』さんが現場経験豊富ですので、今回、大分までお越し頂きました。この方です。

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この会社では代々、社長になると「源右エ門」という名前を襲名しており、今の社長が五代目源右エ門ですから、創業約130年の会社さんです。

そもそも私が源右エ門さんとお付き合いを始めたのは、最初は取引先銀行の方からの紹介だったのですが、実際に仕事上で繋がりが出来たのは、私が福島県で東日本大震災に遭って、自分達ではどうにも対応出来ないような全壊や大規模半壊の住宅を直す際に協力頂いてからです。この会社さんは、私が依頼するどんな難しい工事でも何とか対応してくれるので、いつの間にか、私にとって不可欠な存在になってしまいました。

こういう事はあってはいけない事ですが、もし、予想されているような南海トラフ大震災に襲われた場合、源右エ門さんにも大分に駐在してもらって、大分の方々のために働いて頂きたいと考えています。

今回も実は、昨年4月の震災で被害に遭った建物の復旧工事の相談でした。実際に工事する事になると、こんな車が大分県内を走る事になります。無茶苦茶目立ちますので、私の知人から、多くの目撃情報が寄せられる事でしょう。

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源右エ門さんの工事は、福島県でも多くの方々から感謝されましたので、大分でも同様の活躍をして頂いたいと考えています。

宇佐AMERICAN駅

2017年01月08日[更新]

昨年11月にNHKあさイチで宇佐(USA)が紹介されたためでしょうか、またまた面白い企画が生まれて来るみたいです。1月21日のアメリカ大統領就任式に合わせ、宇佐(USA)駅にて「日本のUSAで大統領就任を盛大に祝う会」が催されるようです。

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以前、星条旗に似た宇佐駅の駅名標デザインが評判になっているという記事をアップさせて頂きましたが、今回もそのデザインが活かされてるみたいです。

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宇佐市出身の私としては「元祖USAは宇佐市だ」という事をアピールしてほしいと思うのですが、知名度においても国際的な影響力においても、アメリカ合衆国には遠く及びませんので、控えめにならざるを得ないですね。

私も出来るだけ参加したいのですが、現場があるから無理かな?面白そうなイベントですので、情報収集だけはしておきたいと思います。

きっと話題になると思いますので、都合のつきそうな方は是非、覗いて見られて下さい。

海外戦略とは?

2017年01月07日[更新]

東南アジアや南米の国々に行くと、日本企業の大きな工場や看板を目にする方が多いと思います。日本の大手企業が海外進出を本格化してから30年以上経過しますが、昨日、アメリカ合衆国次期大統領のトランプ氏が「トヨタがメキシコに新工場を建設して米国向けに輸出するなら、35%の関税を掛ける。アメリカ向けの車を作るなら、アメリカ国内に工場を作るべきだ」と、トヨタの海外戦略に対する警告を発しました。これによって、日本の自動車業界全体に激震が走っていると報道されています。

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ここで冷静に考えてほしいのですが、日本企業の海外戦略とトランプ氏の主張の、どちらが正論なんでしょうか?私は明確に、トランプ氏へ軍配を上げます。

その理由は、これまでの日本企業の海外戦略は、その実態を見ていくと、実は現代版植民地主義であり、マルクスが見ていたような産業革命期の搾取そのものだと考えられるからです。

トヨタの社長も、メキシコ進出の理由を「人件費が安いから」と言ってます。もし本当に「メキシコのために」と思っているなら、後になって人件費が上がってもメキシコに止まって生産し続けるはずですが、人件費が安い国をめがけて工場をシフトし続けて来たこれまでの動きを見ていると、建前論とは全く別で、単に自社が儲けることしか考えていないのでは?と思わざるを得ません。

メキシコで生産している自動車の91%がアメリカ向けで、しかも関税がゼロなんだそうです。要するに、アメリカ人は人件費が高いので、人件費の安いメキシコで生産して生産コストを削減し、自社の利幅を大きくしようというのが、海外戦略というものの実態です。アメリカ人から受け取った売上代金の大部分を、メキシコに落としている訳です。トランプ氏は、この事を問題視しているんだと思います。だから関税を上げると主張している訳で、これは全くの正論だと思います。

実はこの構図、住宅・リフォーム業界でも全く同じなんです。経済の高度成長期以降、住宅会社が利幅を稼ぐ目的で、建材の仕入れを国内から海外にシフトしたため、国内の林業を始めとした建材業界が空洞化してしまいました。要するに、住宅会社に払った工事代金の大部分が、国内ではなく海外に落ちるようになった訳です。

アベノミクスによって、大手企業には過去最大の利益を上げている会社が増えています。しかし、これらの会社が日本国内ではなく海外にお金を落とすため、国内産業は空洞化し続け、逆に日本企業を誘致した国の経済が急成長しています。しかし、進出先の国の人件費が高騰して来ると、今度は別のもっと人件費の安い国にシフトしていってます。

これが海外戦略であり、企業の果たすべき役割だと胸を張って言えるのでしょうか?

私の出来る事は、自分の手の届く範囲でしかないのですが、地域で発生する仕事は、地域内でお金を回す地域内で生産している資材を出来る限り活用する、という方策を徹底する事です。

日本経済全体が再生するには、大手企業が「国内で販売するものは部品生産から組立まで国内で生産し、海外で売るものも現地で一貫した生産の流れを作り上げる」という当たり前の事をやりさえすれば、どこの国の経済も良くなると思うのです。そういう事を前提にした支援策こそ、本当の意味での海外戦略ではないでしょうか?

日本の国技である相撲でも、横綱には品格が求められます。単に勝てばいい訳ではありません。張り手やかち上げといった喧嘩相撲で勝っても意味が無く、出来るだけ相手の立ち会いを一度は受け、その上で相手を打ち負かす事が横綱相撲と呼ばれて尊敬されます。

日本の大手企業にも同様に、単に儲ければいい訳ではなく、地域に経済循環を生む流れを創り出す、という企業が本来果たすべき役割が求められているんだと思います。トランプ次期大統領の主張は、その事をアメリカ国内で実現しようとしているように感じます。そうやって見ていくと、これからのアメリカの動向が楽しみになって来ます。